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MANUKA

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雪山登山、始めました(文)

標高3000Mの山小屋にて仕事が決まった以上、
体力、知識、ヤマの技術、もろもろがないと話にならない。
できる努力はすべて払う、と前回いった気持ちも変わっていない。

6月に山小屋のある稜線までヘリで上がり、最初にする仕事は「小屋を掘り出すこと」だそうだ。
6月といえどもおヤマの上はまだまだ雪と氷の世界。
つまり、雪山で動けないことには仕事にならないというわけだ。

だったら――、とここ数日いろいろ動いている。
何より、実際に雪山を登ってみなきゃ始まらない。
大きな図書館で何冊も雪山登山の入門書や山小屋のある南アルプス山域のガイドブックを借り、
名古屋駅前の登山用品店で、雪山用登山靴をはじめ、アイゼン(靴裏に取り付けるスパイクみたいなもの)、スパッツ、ダブルのストック(杖×2)
...などなど必要な装備を買いそろえた。(いやぁ、すごい額(苦笑) 財布が...)

用具さえ揃えれば、あとはやってみるのみだ。
本を片手にアレコレ調べた結果、
山梨県の八ヶ岳山域が特に初心者にはうってつけとの情報を得るにいたり、
5月5,6日と2日間"遠征"をやってきた。

5月の八ヶ岳山域は残雪期にあたる。
車から見える八ヶ岳の地域はほとんど雪が見えず、「もう融けちゃったかな?!」と不安になった。
ところが、登ってみると標高の高い樹林帯のルートは完全に雪に埋もれ、
山頂付近に至っては1M以上の積雪が残っていた。
GWの好天にも恵まれ、真新しい登山靴とアイゼンやストックを試すのにこれ以上ないコンディションだったと思う。

*****

雪山登山――。
この自分にとってまったく未知の世界は、本当に素晴らしいものだった。
正直、こんなに面白いものだとは考えてもみなかった。
アイゼンがなかったらまったく手も足も出ず敗退したであろう急こう配の雪(むしろ氷)のルートを
注意深く道具を駆使しながら登っていく。
雪上にも関わらず汗をかきながら登頂し、見渡す限りの大展望を満喫する。
雪に音が吸い取られた無音の世界、立ち止まると自分の心臓の音だけが聞こえてくる。

雪上に残る動物の足跡、手がしびれるほど冷たく、少しだけ土のにおいが混じる雪解け水のおいしさ。

夏山とはまったく違うヤマの表情。

もちろん、甘い世界ではないのは重々承知だ。
ひとたび天候が荒れて、ルートが不明瞭な稜線上でホワイトアウトされたら、
今のおれでは下山できないだろう。
八ヶ岳山域から遠く見えた南アルプスは、さらに、さらに厳しそうな雪山だった。
今の自分に太刀打ちできるレベルではなさそうにも思える。
でも今の、世界放浪前のこのタイミングが、雪山を学ぶ最高のチャンスなのだ。
あえて、5月下旬に設ける予定の2回目の遠征はその南アルプスをやってみたい。
残雪期とはいえども雪山は雪山。
その厳しさを全身に受けてもいい。下山できるだけの知識と技術を手に、挑んでみたい。

5月17,18日、テントと寝袋ひっさげて、甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳(ともに3000M級)
チャレンジします。このチャレンジが、山小屋の仕事につながっていく、と信じて。

登山きろく
2010.05.05
編笠山(標高2523M)
2010.05.06
縞枯山(2403M)、茶臼山(2384M)
by Mr-chirujirou | 2010-05-07 20:56 | 登山ログ