人気ブログランキング | 話題のタグを見る

MANUKA

chirujirou.exblog.jp
ブログトップ

KIWI遭遇の仕方おしえます

KIWI遭遇の仕方おしえます_e0041624_16391176.jpg


思うにこれほど国鳥に遭遇することが難しい国は、NZをおいて他にないんじゃないだろうか。国を挙げて凄まじいまでのキーウィの広報がされているにも関わらず、NZ人でさえも「一度も見たことが無い~」などという人がとても多いようだ(モツオラ島で会ったアダム談)。
ましてや高々1年たらずの滞在しか許されない日本人旅行者など、お目にかかる機会はめったに無いといっていい。しかしできることなら、せっかくNZに滞在するのなら、ギフトショップの人形でもなく動物園のキーウィハウスでもなく、彼らを野生の姿でみてみるべきじゃないだろうか。

さてさて、一般人でも立ち入れるキーウィ・スポットはいくつかある。
完全に野生として生きているキーウィを見るのは、南島のすぐ南に位置するスチュアート島が最も有名だろう。地球の歩き方にも「野生キーウィを見るならここ!」くらいの勢いで掲載されていて、知名度が抜群に高い。ただ、多くのガイドブックやパンフレットは「野生のキーウィはスチュアート島でしか見られない」というような書き方がされているが、これは全くの嘘だ。

前回紹介したNZの「メインランド・アイランド事業」、フェンスを使った事業は全部で6つあるわけだが、このうちのいくつかは、夜のキーウィスポットツアーを催しているところであればお目にかかるチャンスがある。ウェリントンはカロリ野生動物保護区でのキーウィ再繁殖成功が有名だ。
そして、沖合いのいくつかの島でも、キーウィの再繁殖がなされている。いくつかあると思うのだが、特にボランティアとしてモツオラ島(オークランドより少し北)に滞在すればほぼ確実にキーウィと遭遇できる(狭い植林地域に50羽のキーウィがひしめいているから)。
そしてこの記事で焦点を当てるのが、俺が何度も滞在したTiritiri Matangi島(オークランド)だ。この狭い島には100羽以上ものキーウィがいて、再繁殖地の中では最も有名で、また見れる確率も高い場所であるといえる。

ここからはさらに“Tiriでのキーウィ遭遇法”に焦点を絞ってみよう。
ボランティアとしてTIRI島に長期滞在していると毎晩のように周りで交わされる会話が、「何時くらいに、どこにいけば一番キーウィが見れるの?」という類のものだ。
「どこ」、と聞かれれば「どこでも」と答えるほか無いのが現状で、実際俺は、訪問者が滞在するバンクハウス真横でキーウィを見たこともある。どうしても、と言うのなら、島を突き抜けるように走るリッジ・トラックや、特に島中心部やkawerauの森がいいように思う。
「何時に」。これも人によって意見が分かれる。意見を大別すれば「日没直後派」、「深夜派」と言うところだろうが、俺は「何時でも派」だ。要は暗くなってしまえば何時だっていい。彼らは餌を探すのに必死だ。

さて、夜の森をライト片手に歩き回ればキーウィに会えると思ったのなら大間違い。彼らに会うにも、少々コツがいる。それをここで伝授しようというわけだ。
まず、何よりも重要なことは、「キーウィになりきること」!これに尽きる。
自分がキーウィになったつもりで森の中を歩いてみてほしい。彼らはジャリジャリ足元を言わせながら早足で歩いているだろうか。ライトを片手に歩いているだろうか。自分がキーウィだったら、どうやって、たいした歩行速度もなくライトもなく、縄張りへの侵入者を見つけるだろうか・・。

つまりまず第1に、『音を立てない/相手の立てる音を聞く』。足元の道路が砂利道ならば、一歩一歩丁寧に歩くべきだし、芝で覆われているのならある程度の速さで歩いてもいい。コツは、枯葉が地面に落ちる音が聞こえるくらいに足音の音量を制限することだ。これで、キーウィたちは逃げることなく、「自分の縄張りに何か来た!」とばかりに逆に寄ってくる。
そして次に、『ライトは使わない』。少しでも星が出ていればライトなしでも夜の森を歩くことは十分に可能だ。
そうやって歩いているうちに、近くの木々の間からガサッと小さな物音が聞こえる瞬間が来る。キーウィかもしれない! そう思った瞬間に、息を殺して全ての動きをとめてみてほしい。ここからは、我慢比べだ。もし相手がキーウィであるなら、1~2分こちらが動かなければ、「ガサッ・ガサッ・ガサッ(一泊置くようにゆーっくり、そして重々しく歩く足音)」と足音をたて、縄張りの侵入者は誰なのかキョロキョロと覗きにくる。ここまできたらもうやることは一つ!とにかく、動かない。そうすればキーウィは足元までくるはずだ。キーウィが帰ろうとしたら、そこではじめてライト(もちろん赤セロハン装着)をつかって姿を観察すればいいと思う。

TIRIにはキーウィはたくさんいる。そういう意味で、普通キーウィ遭遇の大きなヒントとなる彼らの鳴き声「(呼び笛を低く鳴らしたような)ィウィーーィウィー」は、ある程度歩く方向の便りにしてもいいけれど、そこまで重要度は高くないと思っている。だって、その鳴き声の主を無視したところで、残り約99匹は他の森を歩いているのだから、自分でここぞと決めたコースを歩いた方が楽しめるように思うのだ。ただし、すぐ近くで聞こえた場合は即座にそっちへ向かうべし、だ。

おっと忘れていた。何も夜の森で物音を立てるのはキーウィだけではない。その他の夜行性の動物を知っていれば、物音を聞いて「キーウィかも!」と無駄にハラハラすることもなくていい。
迷惑もの――その1、プケコ。
PUKEKOという鳥がたくさん島中で寝ているのだが、彼らは臆病で人が近づくと非常に警戒する。島中に響き渡る「ギャーーー!」という叫び声の主は間違いなくプケコだ(笑)。遠くから聞こえてくると笑えるが、隣の茂みでカサッと物音がしてこっちが「何かな!?」と思って息を殺しているその瞬間に、「ギャー!!」と叫びながら突然飛び立たれた日には、ホンキで数秒心臓が止まる。こればかりは対策がない。今となっては俺は物音の段階でプケコかキーウィかの判断はつくが、これには慣れが必要だ。
迷惑もの――その2、ブルーペンギン。
何でペンギン!?と思う無かれ、彼らは今夜のねぐらを探しに島の上まで登ってくる。世界最小のペンギンだけあって姿はかわいく、最初の1・2羽は嬉しいが、一晩に何羽も遭遇できるのでキーウィ探しをするこちらとしては、「もうペンギンはいいからキーウィにあわせてくれ!」という気分になるものだ。これも判別には慣れが必要だが、明らかにキーウィと違う行動をするので暗闇の中でも比較的判別は容易。具体的に言うと歩き方(ペンギンは高速でヨタヨタ走る)や、人間に背を向けるように逃げるしぐさだ(キーウィは人前を横切るように逃げる)。

さらに夜行性の動物ということでこの2種も加えておこう。
会えたらラッキー――その1、ツアタラ。
要はでっかいトカゲのことだが、なんと唯一の恐竜類の生き残りで生物学的にはものすごい貴重なトカゲ、つまりは生きた化石だ。このTIRIでも60匹以上が再繁殖に成功し今も生きている。夜行性だから夜動き回っているはずだが、俺自身1ヶ月もこの島にいて、たったの2回しか遭遇したことがない。こいつに会うのはキーウィ遭遇よりもステータスがあって、もし夜の散歩から帰って宿のみんなに「ツアタラ見たよ!」といえば、驚かれるに違いない。
会えたらラッキー――その2、ペトラル。
詳しくはgray-faced petrel。ミズナギドリのことで、(多分)夜行性。秋から冬にかけてTIRI島沿岸部の大きなポフツカワの木を拠点に活動をするようで、hobbsビーチからKawerauトラックを少し登った先にあるベンチあたりで、こちらが大きな音を立てると、興味をもって足元の地面に着陸してきてくれる。呼び方は、アーーと大きめの声を出しながら手で口を覆ったり離したりを繰り返す。あくび声のアと普段のアを交互に出す感じだ。上手くいけば、鳴きながら近くに着陸し、手が届くくらいの範囲まで歩いてよってくる。とてもかわいい。・・・・

最初はただ闇雲にライトをかざして森を歩き回っていただけだったが、今のやり方になってからはキーウィとの遭遇率はかなり高い。こうして俺自身、キーウィには何度も遭遇してきた。
何より他のヒトに体験してほしいのは、キーウィに会えたその瞬間だ。
この物音の主は間違いなくキーウィだ!キーウィに会えた!あの瞬間の嬉しさといったらない。その楽しみを少しでも誰かに体験してほしくて、この記事を作ってみた。
誰かがいつか、このページにたどり着いてキーウィ探しの参考にしてくれることを願っている。



******

帰国直前にこの記事をUPしていいものかどうか迷ったけれど
せっかくTIRIで書き溜めた記事、
新鮮なうちにUPしておきます。

では明日、気合入れて最後の文章書きますね。
それでは。
by Mr-chirujirou | 2007-01-10 16:41 | NZ - 鳥の視点@NZ鳥図鑑