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藤前干潟からみえるもの-4月1日-

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小さなガラスを通した先の世界には、視界のすべてに力強く羽ばたくいのちがあった。その視界いっぱいの黒点の集まりはそれ自体が意思を持ったように動き回り、右に、左に旋回する。立ち並ぶ工場群を背景に、最後は再び黒い帯となって海面に漂った。音が聞こえないゆえに、どこか別の世界を垣間見ているような気分だ。

望遠鏡を通じた新たな世界に、俺は感動を隠せなかった。
あれほどの鳥の乱舞を見たのは初めてだった。

自宅から車でたったの40分。
名古屋港から目と鼻の先にある藤前干潟は、大都会と背中合わせの大自然だ。

***

藤前干潟の存在を知っている人は多いと思う。名古屋人ならば、現在のゴミ収集の厳しさの発端として記憶している方も多いかもしれない。名古屋でゴミ問題が深刻化し、あふれたゴミを収める埋立地として、“広大な泥の空間”、藤前干潟が本人意思不在のまま立候補させられ、そして大反対を浴びて断念に追い込まれた90年代後半の一連の事件は、愛知の環境保全の歴史に大きな足跡を残した。

しかし、俺がこの干潟に興味を抱くようになったきっかけはこの件ではなかったように思う。いつかの新聞一面に大見出しで載った「藤前干潟埋め立て断念」の力強いフレーズを見た瞬間だけはどういうわけか覚えているものの、恥ずかしながら当時の俺はほとんど無頓着だったからだ。俺にとってのきっかけは、ニュージーランドのどこかのDOC(環境保護省)オフィスで見た「渡り鳥世界地図」とも言うべき一枚のポスターではないかと思う。NZに生息する渡り鳥が矢印とともにワールドマップに描かれ、その矢印の先端が日本の、それも愛知県沿岸を指していた。もちろん藤前の名くらいは知っていたからすぐにぴんときたが、それと同時に、日本の自然環境のことを、ましてや自分の住む県の自然環境さえも語れそうにない自分に気づき、恥を感じたのだった。あのとき感じた小さな心の痛みが、今日の行動に繋がったといえる。

4月1日、なごや環境大学の講座のひとつとして、『藤前干潟からいのちのつながりを見る』の第一回に参加させてもらった。現地でのバードウォッチングと「藤前干潟を守る会」のスタッフのお話が今日のプログラムだ。講師は「守る会」理事長である辻さん、そして藤前活動センターのスタッフも加わる。参加者は日曜にも関わらずたったの4人だったのだが、その分スタッフと小さな話がしやすく、俺としては溢れる疑問を適度に押えつつ、最大限楽しむことが出来た。
思ったよりも前置きが長引いた。肝心の内容は次回に譲る。
by Mr-chirujirou | 2007-04-01 21:01 | 大学時代を楽しもう