自爆攻撃に向かう若者2人の48時間を描いた作品、『パラダイス・ナウ』。
"殉教"を言い渡されたときの、言葉に表現できない若者の表情が忘れられない。
反パレスチナ勢力リーダーたち、そして2人の若者それぞれにも別々の"殉教"が横たわり
その交錯が息を詰まらせるほど迫ってきた
最後にみせた彼の視線は、いったいどこを眺め、何を見ていたのだろう。
そこにあったのは、自分の運命に対する享受か、諦めか、決意か・・どれも似ていそうで、決して違うように思える。
映画の最後の5秒、ただただ息を止めて、彼の視線の先を想っていた。
そして、映画館から出て繁華街を歩き出したその時、音のない世界に入り込んでしまったような錯覚を覚えた。
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自爆攻撃を認める映画だ、との批判がアカデミー賞前後であったらしいが、とんでもない。
この映画は、観る者それぞれに課題を課す。
見方を変えればそういった批判が巻き起こったのは、監督の意図するところだったのだろうか。