かけっ放しにしていた音楽をとめて、ふと思って窓をあけた。
洗濯物を取り込むのを忘れていた、と思った。
遮光カーテンを開けて、窓をあける。少し冷たいけれど心地よい空気が室内に流れてきた。
そして、なんて静寂。何一つ音が入ってこない。音のなさに圧倒されて、しばらく動くことを忘れた。
一人暮らしをしていると静けさに不安をあおられることがある。
帰ってきたらまずTVをつける、という人も多いだろう。
だけれどやっぱり、「音がない」というのは一つの見えない力だと思えてならない。
NZの鳥類保護区で暮らしていたとき・山小屋で寝袋にくるまるとき。
山頂で風がやんだとき。
これまで何度も感じていたこと。
静寂に身をゆだねる。
それは普段は避けがちな、孤独と向き合う、という作業なのかもしれない。
やっといい季節になってきた。
これからはできるだけ窓をあけて過ごそう。
生き物が起きるまで、束の間の静寂を楽しもう。